カムシャフトと排気管の関係 TOPIC 2020/12/10

最近はカム交換の依頼をたくさんいただきます。どんなエンジンでもカムシャフトを交換することで特性を変更、出力を向上させることができます。

以前の記事でも触れましたが、カムシャフト交換で狙い通りの結果を得られるかどうかは排気系のデザイン(構造)で大きく左右されます。ミルウオーキーエイトの純正カムは、いい加減な構造のマフラーを装着しても大きく性能を落とすことが無いですがその反面、効率の良い部品を投入しても大幅な向上は期待できないデザインです。

低速トルク型と呼ばれるカテゴリーのカムはたくさん存在しますが、一般的なストレート排気構造のマフラーとの組み合わせでは逆に低速トルクを失ってしまう場合もあります。一方で、排気系の構造によっては低速トルク型と呼ばれるカムでも全領域で大きく出力向上を果たすことが可能です。

どこ製のカムが良いというような評価がなされる場合がありますが、そんな単純な話ではなく、そのカムがどんな排気構造と組み合わされるかも重要です。言い換えれば、同じ目的であっても仕様によってカムを選んで使い分ける必要があります。

少し難しい内容でしたが、参考になれば幸いです。

 

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Baby Bazooka 2in1とS&S465カムの実力 TOPIC 2020/02/22

車両は2019 FLSB スポーツグライド 107ci

新製品のブラスベビーバズーカとS&S465カムを装着。

一つ目のグラフは全てノーマルの状態とベビーバズーカ+S&S465、マフラーに12mm穴のインナーサイレンサーを装着した場合の比較です。全領域において犠牲になるトルクが無く、理想的な結果が得られたと感じます。

二つ目のグラフは同じベビーバズーカでインナーサイレンサー有無での比較です。どちらも念入りにセッティングされた結果ですが、最大出力では大差がありません。インナーサイレンサー無しでは4000rpm以上からパワーが伸びていますが、そこまでは伸び悩んでいます。S&S465は低速向けカムなので本末転倒ですね。高速型のカムなら目的に合った良い結果が得られそうです。ここでは12mmインナー仕様がカムの特性を最大限に引き出せて実用的な特性を得られています。

音質面では、インナーサイレンサー無しだと極悪な音量と重低音が音割れすることなく響きます。インナー有りでは現実的な音量と低音(それでも迫力はある)で疲れにくい走行が期待できます。これらはミルウオーキーエイトならではの特性ですね。

ツインカムモデルでは音量がさらに大きくなり、音質のコントロールが難しくなります。インナー有りがおススメですね。

近々YouTUBEかインスタグラムで動画をアップする予定です。

読んで頂き、ありがとうございます。

 

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独立エキゾーストパイプの現実 TOPIC 2019/12/27

サンプル車両はどちらもミルウオーキーエイトツーリングモデル114ci、水冷と空冷の違いがありますが、性能差の原因は主にエキゾーストパイプです。

青いグラフはノーマルパイプ赤いグラフはV&H独立パイプ、マフラーはどちらも同じブラスバズーカ。

 

ハーレーのカスタム業界では昔から独立パイプが偉大な選択だとされてきましたが、一方では今回のグラフのような結果を認識している人達もいます。V-Twinエンジンの醍醐味でもある分厚いトルクは全域で低下してしまっているのが視覚的によく分かりますね。マフラーの構造によって特性が変わりますが、同じマフラーで比較すると結果は大体同じです。

過去のモデルにはパイプ連結ポイントが適切でないことが原因でアフターファイアの頻発やセッティングデータの採取ができない問題の解消の為にやむなく独立パイプを選択する場合がありましたが、近年の車両にその目的はあてはまりません。

別の目的として音質とスタイルの変化がありますが、音質はなかなか難しく、マフラーの構造によってはひどい音質に変化します。”ベロベロ”、”ベコベコ”、”バリバリ” など。

音量は大きくなりますが、納得できる音質になるマフラーはモーターステージ製を含め、ほんの一部だと感じます。

左側マフラーからの排気が弱いツーリングモデルの集合エキパイが、さも不良品かのように言われる方々がいますが、性能面では左右均等に排気が出ている事にメリットは無く、独立パイプは主に大音量にしたい人向けだと認識して下さい。

ミルウオーキーエイトツーリングモデルの場合、すでにマフラーを交換している状態でこれから独立パイプを検討している方々は先にカムシャフトの交換を検討するのもありです。費用的にはECMチューニングを含めると5万円ほど高くなりますが、音質の悪化によりマフラーの買い替えを迫られるリスクを抑えたままで音質&音量に迫力を持たせることができます。

私達も独立パイプを製品展開しているので、目的、メリット、デメリットをはっきりさせた上で選択して頂けるようこの記事を書きました。

トルクが出る、出ないの話題はまた別の記事で。

読んで頂きありがとうございます。

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カムシャフトの比較と落とし穴 TOPIC 2019/11/14

作業の話題が久しぶりになってしまいました。

以前にカムの比較をやりたいと記事を書きましたが、MS的な材料がようやくまとまったので書き出した次第です。他社でもすでに情報発信されているでしょうけれども、この記事が読んでくださる方々の今後の良い選択肢になればと思います。

さて本題ですが、下のダイノグラフは最近人気?なミルウオーキーエイトモデルのカム交換後の比較です。

テスト車両:2018FXBRS114

マフラー:モーターステージ製ベビーブラス76

エキパイ:モーターステージ製ショートショットガン

エアクリ:純正

カムは低速トルク型SE447とS&S465の比較ですが、赤線がS&S465青線がSE447

S&Sがトルクの立ち上がりが早く、4800rpm付近まではずっとSEを上回っています。

そこから優劣が入れ替わりSEがわずかに伸びていますが、最高出力はお互い5300~5400rpm。

最高出力の差も計測の度に出る誤差の範囲と言えるでしょう。当然使用するマフラーやエキパイでも特性は変化しますが。

ビッグツインでは、街乗り~高速道路までをカバーできる1500~3000rpmが重要だと考えた時、S&Sが優位なのは一目瞭然ですね。

全域でノーマルカムを下回る箇所はありませんし、実際に乗ると排気音とトルクの増大に驚かされます。(ノーマルカムとの比較は過去の記事を参照にして下さい。)

ここまでの結果ではカム交換に夢を感じます。ただ、SE,S&Sのどちらのカムも3拍子リズムを実現するためにはアイドル回転を800rpm付近に設定する必要があります。ノーマルカムなら680rpmでリズム良く回るのですが...

では、同じ車両でS&S465+市場で最もたくさん出回っているストレート排気構造のマフラーとの組み合わせでセッティングをした場合との結果が下のグラフです…

ストレート排気構造のマフラーが全域で下回る結果になりました。特に重要な2000rpm付近からの落ち込みはノーマルカムを下回る本末転倒な結果です。特性の違いは予想していましたが、結果はそれどころではありませんね。

特に悪意を持ってセッティングした訳ではありません。セッティングの内容は同じですが、結果的にモーターステージ製のベビーブラスとショートショットガンエキパイの優秀さが際立ってしまいました。ベビーブラスはストレート排気構造ではなく、短いながら膨張排気構造を採用しています。

組み合わせるマフラー、エキパイで違う結果が出るはずですが、傾向的にはそれほど大きく変わらないと考えられます。もし良い結果を知っている方はぜひ教えてください。

それと、すでにデータは集めていますがフロント、リアが連結されていないエキパイにもいろいろな結果が出ています。その結果はツーリングモデルを材料にして、また次の記事で。

 

読んでいただき、ありがとうございます。

 

 

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